
![]() |
タイトル | 化物語 上・下 |
| 著者 | VOFAN | |
| イラスト | 西尾維新 | |
| 出版 | 講談社 | |
| 発売日 | 2006年11月〜2006年12月 |
| 執筆者:jade | 各巻評価:S→S |
| 本作は、「ひたぎクラブ」、「まよいマイマイ」、「するがモンキー」(以上、上巻収録)、「なでこスネイク」、「つばさキャット」(以上、下巻収録)の全5話で構成される、“怪異”を経験した少年・阿良々木暦と“怪異”に出逢った5人の少女を描いた物語です。 物語が始まった時点で、主人公の阿良々木暦は、すでに2度の“怪異”(春休みに吸血鬼、ゴールデンウィークに猫)に遭遇しているという設定。 そのせいか、その後も度々“怪異”に関わることになり、上記の5つの作品で5人の少女と5つの“怪異”に出逢うことになります。 著者の代表作である「戯言シリーズ」とは違い、登場人物が少ないため、一人一人について深いところまで掘り下げられているので、キャラに対する思い入れは自然と強くなりますね。 「戯言シリーズ」では、終盤に用意されている印象に残るシーン以外では、ほとんどキャラに魅力を感じなかったのに対して、この物語では日常シーンの一つ一つをとってもキャラに魅力を感じるので、読んでいてとても楽しいんですよね。 特に各章のヒロインに対する印象は強く、ツンデレちゃんこと戦場ヶ原ひたぎ、エロっ子ちゃんこと神原駿河、委員長ちゃんこと羽川翼、迷子ちゃんこと八九寺真宵、照れ屋ちゃんこと千石撫子の5人は、これまで読んできた小説の登場人物の中でも屈指の存在感を持っています。 その中でも戦場ヶ原と神原のヴァルハラコンビの魅力は別格ですね。 容赦のない毒舌を浴びせ、暦を玩具扱いしているように見える戦場ヶ原ですが、心の底では暦に対して全幅の信頼を置いており、時折覗かせるストレートな愛の言葉は破壊力満点!ツンデレ好きにはたまりません♪ 「つばさキャット」で明かされる彼女の想いは、潔癖すぎるがゆえに重すぎるんだけど、それを自覚しているところがまた男心をくすぐるんですよね。 もしも彼女が実在したら、間違いなく引く(少なくとも高校生じゃ彼女の愛を真正面から受け止めるのは絶対無理)と思うんだけど、物語の登場人物として見る分には、彼女ほど魅力的なヒロインはいないと思います。 それとは対照的に神原は、平気でエロトークを投げかけてきたり、礼儀正しいと見せかけて何気に酷いことを口にしたり、非常に軽い感じの女の子。 そのうえ、どうしようもないマゾ女なので、ツッコんだところで暖簾に腕押しで、こちらもある意味性質が悪いんだけど、本質的には優しくて、面倒見が良い女の子なので、現実に付き合うとするならば、理想的な女の子だと思うんだ。 戦場ヶ原も好きなんだけど、付き合うには生涯を懸ける覚悟が必要だからなぁ(苦笑 ところで、暦が物語が始まる前に出会った“怪異”についてですが、後者に関しては、下巻の最後のエピソード「つばさキャット」で語られているのですが、前者のエピソードに関しては作中で語られることはありません。 それでも作中で当時のエピソードが断片的に語られているので、過去に何があったのか、色々と想像力やら妄想力が掻きたてられて、読後も非常に楽しめました。 一から十まですべて描いた物語よりも、想像という名の無限の広がりがもたらされる不完全な物語のほうが、個人的には好きなんですよね。 物語の雰囲気は、ギャグ7割、シリアス3割くらいの割合かな。 ギャグとシリアスは相反する要素のため、普通は共存し得ないのだけど、この作品ではお互いの長所を打ち消すことなく、また、物語のリズムを損なうこともなく、共存しているのが素晴らしいですね。 私がこれまで読んできた作品で、ここまで見事にギャグとシリアスを調和させた作品は、ライトノベルランキングで歴代1位に挙げている「終わりのクロニクル」くらい。 それを考えれば、「終わりのクロニクル」に匹敵する評価を与えても、決しておかしくないのだけれど、「終わりのクロニクル」が全7巻(14冊)から成る大長編なのに対して、化物語は上下巻の2冊だけなので、そこまでの評価を与えるわけにもいかず、歴代8位に留めておきました。 噂によれば、暦が春休みに出逢った“怪異”を描いた物語「こよみヴァンプ」が、来年発表されるようなので、その出来如何によっては、ベスト5に食い込む可能性も大いにありえます。 評価はS+→S+。 一長一短があるので、「化物語」と「戯言シリーズ」はどちらが上とは言えないけれど、人に勧めるなら「化物語」>「戯言シリーズ」ですね。 「戯言シリーズ」は1冊読むのに少なくとも2〜3時間はかかるので、単純計算で全巻読むのに20時間以上。これだとなかなか手が出しづらいところがあると思うので、これから西尾維新に手を出す人は、手始めに「化物語」を読んでから、それ以外のシリーズに手を伸ばすのがいいんじゃないかな。 |
|
| 化物語関連商品 | ||
![]() 化物語(上) |
![]() 化物語(下) |
|